袴田事件の再審是非、6月11日に判断 東京高裁

1966年に静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、静岡地裁が再審開始を決定して釈放された袴田巌さん(82)=浜松市=について、東京高裁(大島隆明裁判長)は再審開始の是非の決定を6月11日に出すことを決め、関係者に通知した。地裁の再審開始決定を不服として、検察側が高裁に即時抗告している。

袴田さんは裁判で無罪を主張して最高裁まで争ったが、80年に死刑が確定。静岡地裁は2014年3月、「犯行時の着衣」とされたシャツから袴田さんとは別人のDNA型を検出した本田克也・筑波大教授の鑑定などを根拠に再審開始を決定。「捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)」の可能性も指摘し、袴田さんは即日で釈放された。検察側は本田教授の鑑定について「独自の手法で信用できない」などと主張。高裁では約4年にわたって審理が続き、本田教授の鑑定手法が最大の争点となってきた。

袴田さんは現在、浜松市内で姉の秀子さん(85)と暮らす。周辺を歩くことが日課だが、半世紀近くにわたった拘禁生活の影響は大きく、意味が通じない発言が多い。自分のことを「神」や「天皇」と語ることもある。秀子さんによると、最近は笑顔が増えているが、「精神的にはまだまだ治っていない。半分くらいはまだ自分の世界の中」という。

 

朝日新聞デジタル 2018年5月7日17時00分