朝日新聞9/14朝刊より
袴田さんとの面会、調整 死刑廃止提唱のローマ法王
袴田さんとの面会、調整 死刑廃止提唱のローマ法王
ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王(82)が11月の来日に際し、死刑が確定して再審請求中の袴田巌さん(83)との面会を調整していることがローマ法王庁(バチカン)関係者などへの取材でわかった。袴田さんは再審開始決定が取り消された後も、収監されずに浜松市で生活する。死刑確定者との面会が実現すれば極めて異例。法王は「死刑廃止」を提唱しており、日本の死刑制度に世界の注目が集まりそうだ。
法王庁や日本の関係者によると、法王は袴田さんの弁護団から昨年、書簡で面会要請を受けた。袴田さんが収監中にキリスト教の洗礼を受けていたこともあり、東京ドームでのミサの前後などに面会できるかを検討している。ただ、袴田さんは拘禁症状などで体調が不安定なため、面会できるかは見通せない。
袴田さんは1966年に静岡県清水市(現・静岡市)で一家4人が殺害された事件に関与したとして、80年に最高裁で死刑が確定。再審請求を続け、2014年に静岡地裁の再審開始決定を受けて釈放されたが、昨年に東京高裁でこの決定が取り消され、最高裁に特別抗告している。死刑が確定した人は通常、拘置所に収監され、面会が厳しく制限されている。
法王庁と日本政府は13日、法王が11月23~26日に訪日すると発表した。東京のほか、被爆地の広島、長崎を訪れる。ローマ法王の来日は、81年に故ヨハネ・パウロ2世が訪れて以来、38年ぶり。