第33回袴田事件がわかる会

日時:2020年7月18日(土) 午後1時半~4時
会場:浜松復興記念館 (浜松市中区利町304-2 五社神社東)
ゲスト:袴田ひで子さん

マンガ『デコちゃんが行く 袴田ひで子物語』がヒットして、さらに人気者になりました。

「勝つまで闘う。絶対勝てる。だって、巖は無実なんですから。私は、巖が獄中でできなかったこと、好物を食べさせ、行きたいところに行かせ、好きなように自由にさせる。巖との毎日を大切に、明るく生きていく。」釈放されて6年になる巖さんの近況やひで子さんの心境を語ってくれます。

ゲスト:小川秀世弁護士 (袴田事件弁護団事務局長)

日弁連が設置した袴田事件弁護団の中心で活躍するリーダー。「はっきり言って、袴田さんとこの強盗殺人・放火事件とを結びつける証拠は何一つありません」。武器は明快な論理と刑事弁護人としての責任感と誇りです。静岡の刑事弁護人なら、この人。

 

主催:袴田さん支援クラブ

 

あの袴田さんは、どうしていらっしゃるだろうか?

2014年3月27日、日本中を駆け巡った衝撃的なニュース、殺人犯、死刑囚として拘留されていたが、あれは間違いだった「蓋然性が高い」と突然釈放されて48年ぶりに姿を現した袴田巖さん、その横には紅潮した姉の秀子さん。

袴田巖さんは、浜松の街を毎日7時間前後歩き続けています。

袴田さんは、雨の日も台風の日も、炎暑の日も凍てつく日も、ひたすら歩き、足を止めては一点を見つめ静かに一心に何か小声で呟かれていますが、その姿は修行僧のようです。自由を獲得しての気楽で楽しい散歩とはほど遠い、痛々しいまでの姿がそこにはあります。

袴田さんは二つの世界の中で生きています。現実世界と袴田さん独自の精神世界と。

現実世界では、袴田さんは実に真っ当で模範とさえなる紳士です。街の中で目に付いたゴミを拾うこともあり、礼儀正しく、止まってくれた車など他人の好意には片手を挙げたり帽子をとって感謝の意を表し、工事現場の人や店の人にも進んで挨拶をし、私たち支援者にも礼やねぎらいの言葉をかけたりします。

他方、独自の世界にいる袴田さんは、家の中では自室の定位置に坐りじっと深い思慮に沈んでいるようであり、時に誰かと会話しているようでもあります。

袴田さんの「呟き」または「唱える」は、声が小さく聞き取れないのですが、近くで耳を澄ますと、「正義」「世界平和のため」「かわいそう」などの言葉をかすかに捉えることができたこともありました。それが終わると、空に向かって両手に親指と人差し指で丸を作ったものをかざし、それからVサインをかざし、それが終わると少しほっとした表情で、少し休んでまたひたすら歩くということを繰り返しています.

ご承知のように、「袴田事件」は歴史に残る冤罪事件です。日本国内に止まらず、世界的にも関心が高く、袴田家には諸外国メディアからの取材人もやってきます。事件や裁判に関しては本もたくさん出ているし、報道もされています。しかし、袴田巖さんご本人についての関心は薄く、「拘禁症を患う」と一言で片づけられているのが現状です。

「私のもろもろの闘いは今弱者の生を代表するものである」(獄中書簡集より)。獄中で呻吟しつつも断言した格調高い意気込みは、30年を経た現在、再審無罪の獲得という自らの個人的問題を超越。人々の幸福を希って、さながら修行僧のように浜松の街を歩き回る巖さんの姿に貫かれているのです。真犯人なら、社会正義などには感心があろうはずがありません。今もって不正義と闘い続ける「最高権力者になった袴田巖」。このことは巖さんが無実であること、袴田事件は冤罪だということを如実に物語っているものです。

今でも巌さんの闘いは続いているのです。