最後の野蛮――死刑の論理と倫理

 「心情の安定」という名の下に心まで支配されるのか?

 不意打ち執行の恐怖と自由はく奪・・・死刑とは?

第66回袴田事件がわかる会

2023520日(土)  午後1時30分~4時   

浜松復興記念館 2階 (浜松市中区利町304-2・五社神社東)  入場無料、お気軽にお越しください。

ゲスト  袴田ひで子さん (袴田巖さんの姉) ビデオ出演
講 演  宮本弘典さん  (関東学院大学法学部教授) 『最後の野蛮――死刑の論理と倫理』

宮本弘典先生は、実にラディカルな研究者。袴田事件の裁判に象徴される刑事司法の病弊を研究、歴史的経緯を振り返りその動機と論理を見事に解き明かしてみせてくれるのです。人質司法という悪名で呼ばれる長期勾留と自白を偏重する裁判。近代司法の原則とまで言われる「無罪推定」などどこ吹く風という姿勢。これらの悪弊は、戦前の司法制度への先祖帰り、或いはその名残だと単純に指摘される風潮があります。が、宮本先生はその見解に与することなく戦前戦後の歴史の経過をつぶさに観察。その原像が戦前ではなく、日中戦争から太平洋戦争をにかけての戦時態勢下の「司法制度改革」にあると指摘するのです。司法は治安維持法に象徴される戦時態勢に適応する効率優先のシステムに貶められ、戦後も戦時中の司法官たちがその地位を失わずに居残った。戦後、制度は民主化されたが、魂は変わらず生き延び今日の態勢に受け継がれてきた。その変遷と推移に着目する研究は、リアリズムに溢れるばかりかその思想の歴史にも広がり深まって、まさに一幅の壁画のよう。そんな宮本先生が死刑問題にメスを振るう。凡百の論者の彼岸で展開する論理と倫理は、歴史的には中世の魔女裁判にまで遡り、啓蒙思想を原点とした近代刑事司法の発展を総覧、さらに文豪の小説に死刑囚の心理を渉猟するのです。興味深いリアリズムと哲学的な掘り下げに出会うことができます。

 

袴田さん支援クラブからの報告 : 袴田事件再審公判はどうなっているか、その現状と課題  

袴田家物語(このひと月間の巖さんとひで子さん)

 

主催  袴田さん支援クラブ