再審公判、問題点と展望
2023年7月10日。検察庁から「袴田事件の再審公判において、有罪立証を行う」との方針が明かされました。再審請求審の過程で事実上、袴田さんの無罪は明らかになった事に対してのさらなる「有罪立証」。 報道各社も一斉に批判したこの行為には、どのような意味や意図があるのか。また、再審公判はどのように行われるのか。そもそも、この有罪立証は、憲法・法解釈・道義上の各観点から許されてよいのか。 袴田弁護団の重鎮、笹森学弁護士への緊急インタビューです。
2023年7月10日。検察庁から「袴田事件の再審公判において、有罪立証を行う」との方針が明かされました。再審請求審の過程で事実上、袴田さんの無罪は明らかになった事に対してのさらなる「有罪立証」。 報道各社も一斉に批判したこの行為には、どのような意味や意図があるのか。また、再審公判はどのように行われるのか。そもそも、この有罪立証は、憲法・法解釈・道義上の各観点から許されてよいのか。 袴田弁護団の重鎮、笹森学弁護士への緊急インタビューです。
検察が3カ月の猶予の後、7月10日に再審公判での方針を明らかにした。
7人の法医学者の共同鑑定や写真やみそ醸造の専門家の供述で有罪立証する方針。
すでに決着のついた争点を蒸し返し、いたずらに審理の引き延ばしを図っているだけと断罪。
反省のない検察に対して、怒りと嘲笑で対応。
2023年6月17日(土) 午後1時30分~4時 入場無料
浜松復興記念館 2階 (浜松市中区利町304-2・五社神社東)
ゲスト:袴田ひで子さん (袴田巖さんの姉)
問題提起:猪野二三男 (袴田さん支援クラブ事務局長)
1. 現在、再審開始決定が確定し、再審公判へと進んでいる袴田事件。再審は二段階構造と言われる。まずは再審(裁判のやり直し)を始めるかどうかを非公開で審理(再審請求審)して、そこをパスすると再審公判という公開の法廷が開かれ最終的に決着する。たいていは、再審請求審で撥ねつけられてしまう。そこをクリアーすると、もう実質的に再審無罪。再審公 判での争いはほとんどない。公判での審理は軽く済む代わりに争いの決着は請求審でつけられる。
袴田事件の差戻請求審での決定は、あたかも無罪判決のようであった。最終の儀式のようになった再審公判、進め方についての法律もなく漂うばかり。それはどうしてか、考えたい。
2. 袴田事件の確定死刑判決やその後の裁判で有罪の根拠となった「証拠」は、すべて偽造、ねつ造であったことが分析され明らかにされた。つじつまの合わない論理が持ち出され、その合理性の欠如が問題となって再審開始となった。が、逆方向から問題を解いてみると実に気持ちよくそのプロセスが明瞭になることに気づく。
そうすると、この事件は単なる誤判によるものではなく、元々が警察権力による謀略であったのではないか。そしてその生贄として捧げられたのが袴田巖さんだった。そうこの事件の特徴と本質を捉えて、そこから事件や捜査のマヤカシを説明するとスッキリと腑に落ちる。謎解きではなく、ばれたネタから事件を照らしてみたい。
3. 近代刑事司法(民主的裁判)制度の原点を探る。二人の啓蒙思想家、チェーザレ・ベッカリーア(イタリアの法学者1738~1794)とヴォルテール(フランスの哲学者1694~1778)の思想から現代世界と日本の刑事司法にメスを入れ、問題点を模索するとどうなるか。根本から光を当ててみたい。
主催 袴田さん支援クラブ HP : http://free-iwao.com/ 袴田家物語 : https://npokitchengarden.hamazo.tv/
袴田チャンネル:https://www.youtube.com/@user-ec2pi6eu2v/videos
「村山さんに御礼をしたかった。巖の元気な姿を見てもらいたかった」。
ひで
5/19 再審法改正市民の会院内集会に袴田ひで子さんがゲストとして出席。同時に村山浩昭弁護士も講師として招かれていました。
ひで子さんは、巖さんを伴って会場へ。三人は会場で顔を合わせることになりました。
集会の開始直前に、別室で初の対面が実現した。
周知のように、村山氏は2014年の第2次再審請求審の静岡地裁の担当裁判長でした。その村山コート(裁判体)は画期的な決定を結論としました。
すなわち、袴田巖さんの再審請求を認めたばかりか、死刑執行を停止するとともに拘置を停止。巖さんを48年ぶりに監獄から即日解放したのです。
「これ以上拘置を続けることは耐え難いほど正義に反する」という決定の表現は、「袴田裁判」への鬱屈してきた憤懣が煮えたぎるような裁判官の叫びとして噴き出してきたような迫力があった。日本の司法の世界に留まらず日本の津々浦々に響き渡り、世界中に広がる波となった。そして、その後の袴田再審の行方を決定づける羅針盤となったのです。
今までの再審請求裁判では、再審開始決定を出しても身柄を釈放することはなかった。
再審開始決定は実質無罪の言い渡しなので、再審請求人の人権を考慮するならば刑の執行停止は当然のこと、拘置の停止も自然な成り行きです。
にも拘らず、これまでの再審無罪になったケースでは、再審無罪判決が言い渡されて初めて釈放されるのが慣習でした。
ですから、村山コートの踏み込んだ決定は驚きの目で見られ称賛されたのでした。
秀子さんは、巖さんが解放されてからずっと「一言でも御礼が言いたかった」。そのことが頭から離れなかったそうです。
「あの時点で釈放されなかったら獄中死していたのでは」「村山さんは巖の命の恩人」と語っています。
その一瞬を捉えた映像と、集会での村山元裁判長の率直でけれん味のない発言を収録した映像をご覧ください。
2023年5月20日(土) 午後1時30分~4時
浜松復興記念館 2階 (浜松市中区利町304-2・五社神社東) 入場無料、お気軽にお越しください。
宮本弘典先生は、実にラディカルな研究者。袴田事件の裁判に象徴される刑事司法の病弊を研究、歴史的経緯を振り返りその動機と論理を見事に解き明かしてみせてくれるのです。人質司法という悪名で呼ばれる長期勾留と自白を偏重する裁判。近代司法の原則とまで言われる「無罪推定」などどこ吹く風という姿勢。これらの悪弊は、戦前の司法制度への先祖帰り、或いはその名残だと単純に指摘される風潮があります。が、宮本先生はその見解に与することなく戦前戦後の歴史の経過をつぶさに観察。その原像が戦前ではなく、日中戦争から太平洋戦争をにかけての戦時態勢下の「司法制度改革」にあると指摘するのです。司法は治安維持法に象徴される戦時態勢に適応する効率優先のシステムに貶められ、戦後も戦時中の司法官たちがその地位を失わずに居残った。戦後、制度は民主化されたが、魂は変わらず生き延び今日の態勢に受け継がれてきた。その変遷と推移に着目する研究は、リアリズムに溢れるばかりかその思想の歴史にも広がり深まって、まさに一幅の壁画のよう。そんな宮本先生が死刑問題にメスを振るう。凡百の論者の彼岸で展開する論理と倫理は、歴史的には中世の魔女裁判にまで遡り、啓蒙思想を原点とした近代刑事司法の発展を総覧、さらに文豪の小説に死刑囚の心理を渉猟するのです。興味深いリアリズムと哲学的な掘り下げに出会うことができます。
袴田さん支援クラブからの報告 : 袴田事件再審公判はどうなっているか、その現状と課題
袴田家物語(このひと月間の巖さんとひで子さん)
主催 袴田さん支援クラブ
4/15 小川事務局長講演 第65回袴田事件がわかる会
『袴田事件は、相次ぐねつ造証拠による死刑えん罪事件』
4/15 第65回袴田事件がわかる会での木谷先生のご講演です。
2023年4月15日(土) 午後1時30分~4時
浜松復興記念館 2階 (浜松市中区利町304-2・五社神社東)
入場無料、お気軽にお越しください。
ゲスト 袴田ひで子さん (袴田巖さんの姉)
講 演 小川秀世 弁護士 (袴田事件弁護団事務局長)
特別ゲスト 木谷明 弁護士 (元裁判官)
主催:袴田さん支援クラブ
動画『巖さん、60年ぶりのお花見』を公開しました。
© 2024 袴田さん支援クラブ