袴田チャンネル連載の【 痛憤痛恨の刑事司法史】、関東学院大学教授宮本先生の講話シリーズ、4本目 『 VOL.3 (後編) 』をアップしました。
これでこのシリーズが完結です。
袴田チャンネル連載の【 痛憤痛恨の刑事司法史】、関東学院大学教授宮本先生の講話シリーズ、4本目 『 VOL.3 (後編) 』をアップしました。
これでこのシリーズが完結です。
2021年 5月15日(土) 午後1時30分~4時
浜松復興記念館2階 (浜松市中区利町304-2・五社神社東) 入場無料、お気軽にお越しください。
中世(日本では江戸時代、ヨーロッパでは絶対王政の時代)では、肉体への拷問は合法でありマニュアルまで用意されていました。裁判は、拷問による自白がありさえすれば有罪とし刑罰を与えていたのです。当時の「自白裁判」では、そのほとんどがえん罪。無実の人々が濡れ衣を着せられ、死刑や重罪を背負わされたのでした。
近代になって、残虐な「自白裁判」が歴史的に反省され、その否定から裁判制度(近代刑事司法)が出発します。その目指すところは、無実の発見。「十人の真犯人を逃すも、一人の無辜(無実の人)を罰するなかれ」という格言に示されるように、無実の人を決して罪に陥れてはならないということを至上命令とし、そこから裁判制度を組み立て運営するという理念が確立されたのです。
ところが、日本の裁判もそのような歴史の流れの延長上に今があるはずなのですが、ご承知のように「自白裁判」は今でも改められることなくその弊害をまき散らしているのです。頻発する冤罪事件、再審を阻む壁などが無辜を苦しめています。
それは何故なのか?歴史の過程を振り返って明らかにすべきです。その研究をライフワークにしているのが、宮本先生です。
日本の裁判の歴史は、どこでどう間違ったのか?宮本先生の歯に衣着せぬお話しは説得力があります。
袴田巌さん取調べ時の録音の一部が、2015年に開示されました。そこには、袴田さんを追い詰め、ウソの自白に至らしめるための恐ろしい「策略」の過程が残されていました。さらに、警察官などによる明白な違法行為の証拠まで……。ぜひ耳にしてください。
開示された音声を徹底的に分析した奈良女子大学名誉教授、浜田寿美男氏の結論は「袴田さんは無実」。
自白の内容は、無実の立証に極めて有益なことがあります。浜田氏は「無知の暴露」「逆行的構成」という二つの補助線を駆使して、袴田事件の三つの謎を解決に導きます。
なぜ、罪を犯していない人が「ウソの自白」によって犯人にされてしまうのか……巧妙な罠と圧迫、つじつま合わせのための誘導……その恐ろしい過程をご自身の耳で確かめてください。
前編
後編
日本の裁判には問題大有りですね。袴田事件はその代表的事例です。何故そんなことが文明国の現代にもはびこっているのか?不思議ですよね。常識で考えても、どうしてそんなことが許されているの?裁判官、信頼できると思っていたのに、頭の中、どうなっているの?そんなことばかりです。
ビックリしているだけではいけません。怒っているだけでもいけません。
どうして江戸時代の封建国家から近代国家へと進み、戦後の民主化があったにもかかわらず、「日本の裁判、司法は中世のまま」などと言われるのか。その歴史を辿る旅に出ませんか。関東学院大学教授・宮本弘典先生のお話しを収録しました。ぜひともご覧ください。
以下の2タイトルはアップ済です。
【痛憤痛恨の司法史-1】(近代司法の目標は、「無罪の発見であった/今も後を引く戦時中の裁判)
【痛憤痛恨の司法史-2】(戦後の裁判所改革における改革派と守旧派との暗闘)はアップ済です。
今回は【痛憤痛恨の司法史-3前編】(どのような人が最高裁長官になったのか 前編)です。「裁判所は人権の砦?それとも権力の番犬?」
以下からどうぞ。
「罪を認めれば死刑になるのが分かっているのに、無実の人が自白するはずがない」「自白したなら有罪に決まっている」と普通の人は考えます。裁判官もそうです。「自白」があれば「有罪判決」をためらいなく書きます。そこに重大な落し穴があるのです。警察官が暴力をふるい拷問しなくても、無実の人がいともたやすく「私がやりました」という供述調書に署名させられてしまうのです。
それは何故なのか?外から眺めているだけでは決して理解できないことです。そのカラクリに心理学の手法でメスを入れ、「ああ、そうだったのか!」、目からウロコの科学的解説で明らかにしてくれるのが、浜田寿美男先生。発達心理学を専門に研究なさってきた先生が、冤罪を生む元凶としての「自白」の問題に取り組んで40年を超えます。甲山事件を始めとして帝銀事件、名張毒ぶどう酒事件、足利事件、狭山事件など多くのえん罪事件に関わり、袴田事件の裁判でも袴田巖さんの「自白」についての鑑定書を2度にわたって裁判所に提出しています。聞き逃すことのできないお話をどうぞ。
ゲスト:袴田ひで子さん (袴田巖さんの姉、保佐人、再審請求人)
ゲスト:浜田寿美男さん (奈良女子大学名誉教授)
「罪を認めれば死刑になるのが分かっているのに、無実の人が自白するはずがない」「自白したなら有罪に決まっている」と普通の人は考えます。裁判官もそうです。「自白」があれば「有罪判決」をためらいなく書きます。そこに重大な落し穴があるのです。警察官が暴力をふるい拷問しなくても、無実の人がいともたやすく「私がやりました」という供述調書に署名させられてしまうのです。
それは何故なのか?外から眺めているだけでは決して理解できないことです。そのカラクリに心理学の手法でメスを入れ、「ああ、そうだったのか!」、目からウロコの科学的解説で明らかにしてくれるのが、浜田寿美男先生。発達心理学を専門に研究なさってきた先生が、冤罪を生む元凶としての「自白」の問題に取り組んで40年を超えます。甲山事件を始めとして帝銀事件、名張毒ぶどう酒事件、足利事件、狭山事件など多くのえん罪事件に関わり、袴田事件の裁判でも袴田巖さんの「自白」についての鑑定書を2度にわたって裁判所に提出しています。聞き逃すことのできない講演。
3月22日【第1回三者協議】 東京高裁での差戻し審が始まりました。
袴田事件第2次再審請求審は、昨年12月に最高裁が高裁決定を取り消し、東京高裁に差し戻したのを受けて、東京高裁での審理が始まりました。3月22日が第1回目の裁判です。裁判といっても再審(裁判のやり直し)を認めるかどうかを争う手続きで、この段階を越えて初めて再審公判(やり直し裁判)となるのです。どうやら、またしても非公開で行われる審理。裁判官、検察官、弁護人の三者だけの協議で進められる裁判です。
日本の再審制度では、第1関門の再審請求審で再審開始決定が確定すれば、次の段階の再審公判(公開裁判)ではほとんど争わずに再審無罪判決で決着します。第1段階で実質審理は終了するようなシステムになっています。この大事な方の裁判が非公開で、公開裁判の再審公判が儀式的な付けたしになっているのは変なのですが。日本の裁判制度の問題のひとつです。ともあれ、再審開始決定を勝ちとらなければなりません。
さて、最高裁の出した差し戻し決定が、高裁での審理の出発点となります。どういう決定で、何を高裁に求めているかを再確認しておきます。
ここから始まる差し戻し審。最初から検察のピンチですが、何でもアリの裁判。国民の監視が必須です。
初めての方も気軽にお運びください
2021年 3月20日(土) 午後1時30分~4時 毎月第三土曜日の午後開催
浜松復興記念館2階(浜松市中区利町304-2・五社神社東)
ゲスト 袴田ひで子さん(袴田巖さんの姉) マンガ『デコちゃんが行く 袴田ひで子物語』がヒットして、さらに人気者になりました。 「勝つまで闘う。絶対勝てる。だって、巖は無実なんですから。私は、巖が獄中でできなかったこと、好物を食べさせ、行きたいところに行かせ、好きなように自由にさせる。巖との毎日を大切に、明るく生きていく。」釈放されて7年、85歳になった巖さんの近況やひで子さんの心境を語ってくれます。
ゲスト 小川秀世さん (弁護士・袴田事件弁護団事務局長)
日弁連が設置した袴田事件弁護団の中心で活躍するリーダー。「はっきり言って、袴田さんとこの強盗殺人・放火事件とを結びつける証拠は何一つありません」。これまでの裁判を振り返り、高裁での差し戻し審への意気込みを語ります。
主催:袴田さん支援クラブ
袴田さんを救援する清水・静岡市民の会・ 袴田さんを救援する静岡県民の会との共同開催スペシャル
2021年 2月20日(土) 午後1時30分~4時
浜松復興記念館2階 (浜松市中区利町304-2・五社神社東) 入場無料、お気軽にお越しください。
事件を語らせたらこの人、長年支援活動を続けてきた楳田さんと山崎さんが分かりやすく検証、説明します。
前々回(第38回12月)は警捜査報告書」「現場検証報告書」「第一審判決」などの資料から、図上で再現。
それを受け継ぎ、1年2か月後に「発見」された犯行着衣の登場によって、検察官の主張がまるで違っていまいました。パジャマから5点の衣類へとチェンジされることによって、さらに信じられない主張がまかり通るようになります。登場のいきさつから、それによる犯行経緯の恣意的変更、欠陥だらけの証拠。一つ一つのチグハグを明らかにします。
特に、支援者と弁護団が協力して実行したみそ漬け実験とそれが明らかにしたことを報告します。
主催 袴田さん支援クラブ / 袴田さんを救援する清水・静岡市民の会 / 袴田さんを救援する静岡県民の会
初めての方も気軽にお来しください。
大崎事件のクラウドファンディングを成功に導かれ、袴田事件のクラファンにも格別なご協力を頂いています。「正義」を振りかざす「世論」に叩かれている人々の人権を護りたい、それが弁護の原点で、GPS捜査違法事件の主任弁護人として最高裁大法廷で熱弁を揮い勝訴するなど、刑事弁護に縦横無尽の活躍をなさっています。著書に『刑事弁護人』(講談社現代新書)
最高裁決定(高裁決定の取り消しと差し戻し)は、どういうことなのか? 袴田さん支援クラブ
連絡先 mail. info@free-iwao.com TEL. 090-2342-2309
袴田さん支援クラブHP:http://free-iwao.com/
袴田チャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCqlu_zQAcuZkoHv-b4OT7bQ/videos?view_as=public
袴田家物語ブログ:https://npokitchengarden.hamazo.tv/
最高裁判所第3小法廷は、令和2年12月22日、検察官の抗告を容れて袴田巌さんに対する再審開始決定を取り消した東京高裁(大島隆明裁判長、菊池則明、林欣寛裁判官)の判断を「著しく正義に反する」として取り消し、審理を東京高裁に差し戻す決定をした。
裁判官5名全員が、東京高裁の決定を違法として取り消すことで一致し、内3名は東京高裁へ審理を差し戻すべきだとし、内2名は直ちに再審開始をすべきだとした。裁判官の意見が割れた中での多数決による決定だった。
弁護団は、ここに、東京高裁の決定を取り消す判断をした最高裁、特に、再審開始の確定を強く求めて異例にも反対意見を述べた林景一、宇賀克也両裁判官に対して、深い感謝の気持ちと敬意を表明する。
林景一・宇賀克也両裁判官の意見は、公平かつ公正に証拠を評価した、正に人権の砦たる最高裁にふさわしいものであるだけでなく、国民の目線に立った優しく血の通った意見である。
これまで弁護団は、最高裁に対し、いたずらに時間を引き延ばすことなく、即座に再審開始の決定をするように求めてきた。
残念ながら、多数意見を説得し切れず、この願いは叶わなかったが、再審開始に向けた動きが強まったという意味では意義のある結果となった。
本件では、確定審の静岡地裁で主任裁判官であった熊本元裁判官が、本人が無罪心証を抱いていたのかかわらず、多数決で敗れたことを告白している。今回の最高裁決定でも多数決によって再審開始が確定するには至らなかったが、これまでに熊本元裁判官、開始決定を出した静岡地裁の裁判官、今回の決定の2名の最高裁裁判官という何名もの裁判官が袴田さんは犯人ではない可能性があると判断しているのである(多数意見の最高裁裁判官も確定判決に少なくとも疑問を抱いていると思われる)。「疑わしきは罰せず」という刑事司法の原点を持ち出すまでもなく、袴田さんの無実はゆるぎないものとなりつつある。
本件については、日本国のみならず、世界中が注目しており、袴田さんを死刑囚として連れ戻すことは、もはや不可能であることを、裁判所及び検察も肝に銘じるべきである。
弁護団は、袴田さんの無罪を勝ち取るため、また、支援者・国民の皆様や上記5名の裁判官の良心に基づく勇気ある決定に応えるためにも、近く始まる東京高裁の審理において、最高裁多数意見のDNA鑑定の評価についての誤りを正し、みそ漬け実験の新証拠としての価値を確信させるべく全力を尽くす所存である。
2020年(令和2年)12月25日
袴田事件弁護団団長 西嶋勝彦
最高裁判所第三小法廷は、本年12月22日付けで、袴田巖氏の第二次再審請求事件について、再審開始を認めた静岡地方裁判所決定(原々決定)を取り消し再審請求を棄却した東京高等裁判所決定(原決定)を取り消して、本件審理を東京高等裁判所に差し戻す決定をした。本決定により、原々決定の再審開始決定が維持され再審が開始される可能性が高まった。
本件は、1966年(昭和41年)6月30日未明、旧清水市(現静岡市清水区)の味噌製造会社専務宅で、一家4名が殺害された強盗殺人・放火事件の犯人とされ死刑判決を受けた元プロボクサーの袴田巖氏が無実であることを訴えて再審を求めている事件である。
第一次再審請求審(1981年~2008年)を経て、第二次再審請求審(2008年~)において、静岡地方裁判所は、2014年3月27日、新証拠である本田克也筑波大学教授によるDNA鑑定の信用性を認めた上で、5点の衣類が捜査機関によってねつ造された疑いのある証拠であることを認定して再審開始を認めると同時に袴田巖氏の即日釈放を命じた。ところが、検察官の即時抗告に対して、2018年6月11日、東京高等裁判所は再審開始決定を取り消し、再審請求を棄却する決定(原決定)を下したことから弁護団は最高裁判所に特別抗告を申し立てた。
本決定は、本田鑑定人の姿勢や資質に対する原決定の不適切な説示を明確に否定したが、試料の変性、劣化などを理由に本田鑑定の信用性を否定する判断については結論において是認している。しかし、5点の衣類の色に関する味噌漬け実験報告書や専門家意見書の信用性を否定した原決定の判断について、その推論過程に疑問があることや専門的知見に基づかずに否定的評価したことについて審理不尽の違法があると判断し、全員一致で原決定を取り消した上で、多数意見は、さらにこの点についての審理を尽くさせるために、本件を原審である東京高等裁判所に差し戻す旨を決定した。本決定には、2名の裁判官の補足意見に加え原決定を取り消すにとどまらず原審に差戻しをすることなく更に進んで最高裁で自判し再審開始決定を確定させるべきとする2名の裁判官(林景一裁判官、宇賀克也裁判官)の反対意見が付されている点は注目に値する。
袴田巖氏は、現在、84歳と高齢であり、47年間の長期間の身体拘束を経て釈放され、現在、親族と共に穏やかな生活を送っているが、袴田巖氏の救済に一日の猶予も許されない。
当連合会は、差戻し審においては、本決定の反対意見の趣旨も踏まえ、早急に審理を行い、一日も早い再審開始、そして袴田巖氏に対する無罪判決が下されるよう強く求める。
また、当連合会は、袴田巖氏が無罪となるための支援を続けるとともに、再審における証拠開示の制度化や、再審開始決定に対する検察官の不服申し立て禁止をはじめとする再審法改正など、えん罪を救済するための制度改革の実現を目指して全力を尽くす決意である。
2020年(令和2年)12月24日
日本弁護士連合会
会長 荒 中
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